【進撃の巨人】 never ending dream R18
第28章 永久に碧く~初陣~
「サラ団長っ!!」
兵士達は馬から飛び降り、巨人の身体へとアンカーを突き刺す。
我に返ったサラは、目の前を走る鎧の巨人へと再び鋭い視線を向けた。
「進め!!
エレンはすぐそこだ!!進め!!」
サラの叫びに応えるように、兵士達は鎧の巨人のもとへと突き進んでいく。
今、人類を救う事が出来るのはエレンただ1人だろう。
“調査兵団の命には優先順位がある”
遠い昔に聞いた、父親であるエルヴィンの言葉を…そして、仲間を失ったリヴァイへと告げた言葉を、サラは思い出していた。
優先すべきはエレンの命。
…私の命などではない。
サラは鎧の巨人へと向かっていく兵士達の背中を見つめる。
しかし、このまま巨人に食われるわけにはいかない。
サラの身体は徐々に巨人の口の中へと引きずり込まれていく。
サラを助けるためにと剣を振るう兵士達も、指揮官の危機的状況に動揺し、巨人のうなじを捉えられずにいた。
「今…ここで死ぬわけにはいかないんだよ。」
サラは左手に握っていた剣を、右腕の付け根へと押し当てる。
そんなサラを見て、兵士達は「団長!?お止めください!!」と耳をつんざくほどの悲鳴を上げた。
「…右腕くらい、くれてやるよ。」
その瞬間、サラは歯をくいしばり、自らの手で右腕を切り落とした。
巨人の口から解放された身体は、ゆっくりと地面へ落ちていく。
嬉しそうにサラの右腕を食らう巨人は兵士達の手によりうなじが削がれ、徐々に蒸発していくのが見えた。
「ミケ…君がいないと私はこんなにも弱いんだな。」
地面に倒れたサラは、赤く染まる空を見つめながらそうポツリとつぶやいた。
【永久に碧く~初陣~】おわり