【進撃の巨人】 never ending dream R18
第8章 出会い~真実~
ハンジの話は、あまりにも残酷だった。
心臓を何度も激しく刺されようとも、死ぬことを許されない…そんな拷問のような悲しみを、サラはあの小さい身体で受け止めていたのかと、リヴァイは思った。
「…本当にあの時ばかりは私も死を覚悟したよ。
でも、サラだけは諦めなかった。
あの時一番、悲しみに打ちひしがれていたのはサラだったはずなのに…。」
ハンジとリヴァイは談話室の窓から、中庭の花壇で花の手入れを続けるサラを見つめる。
花に囲まれた小柄なサラは、純真無垢なただの少女に見えた。
「サラは、調査兵団で育ったんだ。
一体どういう経緯があってそうなったのかは知らないが、5歳の時にはもうここで暮らしていたようだよ。
だからだったんだな。
あの時、底知れぬ絶望感に襲われていた私達に、サラは言ったんだ。
“私にとって、ここにいる皆は大切な仲間であり家族だ。
どうか…これだけは忘れないでほしい。
私達の命は、大切な仲間の犠牲のもとに生かされた命だ。
命を…大切に使ってください。”
サラはもともと兵士には向いていない。
身体だって小さいし、力も弱い。
しかし、彼女はこうして調査兵団で分隊長を任されるまでになった。
いや…次期団長は間違いなく彼女だろう。
私は訓練兵時代からずっとサラと生活を共にしてきたが、彼女が眠っている姿を一度しか見た事がない。
大げさかもしれないが…サラは、周りの兵士の三分の一の睡眠で、三倍の訓練を積んだ。
そして、学んだんだ。
この地獄のような世界で生き残る術を。
彼女は、そういう人間だ。」