【進撃の巨人】 never ending dream R18
第8章 出会い~真実~
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もう冬だというのに、談話室の窓から入り込む朱色の光は暖かく、見惚れるほどの夕映えは、窓際にたたずむリヴァイの頬を紅く染めていた。
壁外調査から帰還し、兵舎の廊下を歩くリヴァイに話しかけてきたのはハンジだった。
「君が倒した奇行種について、詳しく教えてくれないかい!?」
巨人の事となると、いつも興奮を抑えられずにいるハンジを、リヴァイは鬱陶しく感じていた。
しかし、なぜかこの日はハンジを無視する事が出来なかった。
ひとりになりたくない…。
自分の心と会話をするには、まだ気持ちの整理がついていなかった。
「そこの談話室で待っててくれ!!
用事を片付けてくるから!!」
弾む声でそう言うと、ハンジは慌ただしく廊下を走り去っていった。
リヴァイは談話室へ入ると、窓際にたたずむ。
ふと、中庭を見下ろすと、花壇に見慣れた後ろ姿があった。
黒髪を風に揺らし、花の手入れをしている。
時おり空を見上げ、目を細める表情は、リヴァイが今まで見た事のないものであった。
「君はまだ、サラの命を狙っているのかい?」
振り返ると、そこにはハンジがいた。
「サラとは、訓練兵時代の同期でね。あっ、ミケも同期だ。
ただ、年齢はサラのほうが下だけどね。
君達がサラの命を狙っていたのは、何となく気付いてたよ。」
そう言うと、ハンジは窓際の椅子に腰を下ろした。
リヴァイは、不愉快そうに顔をしかめる。
自分達の計画はサラだけではなく、ハンジにまで感付かれていたのかと…改めて自分のふがいなさに嫌気がした。
サラへの殺意はとうに消えていたが、心を切り裂くような後悔の念は、いつまでもリヴァイを苦しめ続けている。
そんなリヴァイを見て、ハンジはこう切り出した。
「前回の壁外調査で、サラの父親と弟が死んだんだ。」
リヴァイは瞳を大きく見開き、ハンジを凝視した。
ハンジの視線は、中庭にいるサラへと向けられていた。