【進撃の巨人】 never ending dream R18
第28章 永久に碧く~初陣~
消灯時間が過ぎ、二段ベッドの下段で眠るハンジのイビキが聞こえてこようとも、私は眠る事など出来なかった。
横を見れば、いつもアンが眠っていたベッドがある。
“サラは壁外に行ったら何をしたい?”
出発前夜の会話が、遠い昔の事のように思えた。
私はベッドから起き上がると、物音を立てぬよう手持ちランプを片手に部屋を出た。
とても眠れるような心境ではなかった。
身体は疲れているはずなのに、心は醜く悲鳴を上げ続ける。
こんな夜は刀を持ち、剣舞の稽古に明け暮れていたい。
しかし、肝心の刀は父の部屋の中だ。
行き場を無くした私は、廊下の窓から父の部屋がある幹部棟を見つめた。
その時だった。
ふと、幹部棟の屋上に明かりが見えた。
ユラユラと揺れるわずかな明かり。
それはちょうど手持ちランプほどの小さな明かりだった。
こんな夜中に一体誰だろうと、私はわずかに見える人影に目をこらす。
しかし、私の視力などでは到底見える距離ではない。
もしかすると、眠れない兵士が自分の他にもいるのかもしれない。
私は足音を立てぬよう、静かに幹部棟の屋上へと向かった。