【進撃の巨人】 never ending dream R18
第28章 永久に碧く~初陣~
“命の優先順位”
そんな事を考えた事は今まで一度もなかった。
命の重さは皆、平等であると…私は幼い頃から考えていたからだ。
だからこそ、仲間を…アンを置き去りにするという選択は、私にとってはとても耐え難いものだった。
生き残った兵士達と、置き去りにした兵士達。
その命の重さは平等であったはずだ。
アンの命は軽くなどないと、私の瞳からは再び涙が溢れ出す。
しかし、そんな私を残して父は去っていく。
春の風に揺れる父のマント。
その後ろ姿は、非情で冷酷なものに見えた。
父の背中の紋章が涙で滲んでいく。
調査兵になると決めたあの日にも見た父の背中の紋章。
愛する家族を守りたい。
大切な人を守りたい。
そのためなら…
強くなってやる。
もう、誰も死なせはしない。
そう誓ったあの日。
しかし…私は死なせてしまった。
大切な仲間を…大切なアンを…。
私が目指した所は、やはり地獄だったのだと…唇を噛みしめ、拳を強く握り締めた。