【進撃の巨人】 never ending dream R18
第28章 永久に碧く~初陣~
「サラ・スミス!!
団長の娘だからって調子に乗るなよ!!」
彼はそう言うと、再び私の頬を殴りつけた。
“フラゴン・ターレット”
彼は私が訓練兵団に入団した年に、調査兵団へやってきた兵士だった。
3年後、私が調査兵団へ戻ると、彼は異例の早さで班長に昇格し、兵団の中では一目置かれる存在となっていた。
配属された分隊が違っていたため、特に交流はなかったが、顔を合わせば挨拶ぐらいはしていたと思う。
そんなフラゴンは、私の胸ぐらを掴んで立ち上がらせると、再び拳で顔を殴りつけてきた。
「団長が進むと言ったら進むんだ!!」
地面へと倒れ込んだ私の口の中には、じんわりと錆びた鉄の味が広がっていく。
それでも私の心にあるのは、アンを助けたいという想いただ一つ。
アンを…見殺しになんて出来るはずなどなかった。
例え団長が…父が進むと言おうとも。
私達は約束をした。
“絶対に死なない。”
そう…誓い合った。
「もう、止めてくれませんか?」
フラゴンを制止するミケの声が聞こえた。
そっと目を開けると、大きく振りかぶったフラゴンの腕を、ミケが強く掴んでいた。
フラゴンは軽く舌打ちをすると、その場を立ち去っていく。
「仲間を助けに行きたいのは、お前だけじゃないんだ…。」
クラクラとする頭に、フラゴンの言葉が冷たく響いた。