【進撃の巨人】 never ending dream R18
第8章 出会い~真実~
ドアをノックする音がした。
サラが団長室にいる事を知っているのは、彼しかいない。
サラはドアの向こう側にいる人物へ向け、部屋に入るよう声をかけた。
「ミケ…。」
サラは優しく微笑む。
そんなサラを見て、ミケは一度視線を外す。
唯一、サラにだけ見せる彼の癖だった。
「傷の具合は?」
ミケが尋ねる。
「もう平気だ。」
サラは白いシャツの襟をめくり、首筋の傷を見せた。
「あの時、よくリヴァイに刃を向けずにいてくれた。
もし…あのまま君が彼と殺り合っていたら…私も君も、ここにいなかっただろうな。」
サラはそう言うと、窓の外を見つめた。
既に日は落ち、辺りは闇に包まれはじめている。
冷たい風だけが、サラの頬を優しく撫でた。
「あの時…お前のマントの内側に、ブレードとは異なる刃が見えた。
だから俺は手を出さずにいた。
お前は本当に、奴と剣を交えるつもりはなかったのか?」
ミケの問いかけに、サラは笑顔で答える。
「見えていたのか。
アレは“念のため”だよ。
彼を力で降伏させる事はやはり不可能だっただろうな。
彼は強い。
誰よりも。」
窓の外を眺めるサラの後ろ姿に、ミケはそっと寄り添った。
サラの黒髪に、ミケの息づかいが伝わる。
それは、もう1つのミケの癖だった。
窓枠に乗せたサラの手に、ミケの大きな手が重なる。
「ミケ…。
君にはいつも助けてもらってばかりだ。
本当に感謝している。
しかし…私は君に恋愛感情は持たない。」
サラは、重ねられたミケの手を振り払う。
憂いを帯びたサラの表情を見て、ミケは鼻でフンと笑った。