【進撃の巨人】 never ending dream R18
第28章 永久に碧く~初陣~
冷たい水を顔にかけられ、私は驚き、ミケの腕を強く掴んだ。
返り血を浴びた私の左目を、ミケは水でそっと洗い流してくれた。
徐々に見えてきた現実の世界。
私の顔をのぞき込むミケの顔は、酷く青ざめていた。
蒸発していく巨人の身体。
その傍らには、見るも無惨な班長の遺体が転がっている。
回収は不可能。
そう判断した私達は、本隊と合流するために補給所を目指して走った。
黒い煙弾が昇り、巨人が姿を現したのはつい数分前の事だった。
その数分の間に、私達は指揮官である班長を失った。
一瞬にして奪われた命。
助ける事の出来なかった命。
手綱持つ手には、巨人を斬りつけた感触が残っていた。
肉を裂き、骨に当たる刃。
憎しみの対象でしかなかった巨人。
それなのに、いつまでも消えぬ後味の悪さが胸を襲う。
私が殺したのは“人間”ではなく“巨人”。
そう思おうとも、私の心が晴れる事はない。
巨人が班長を殺したように、私も巨人を殺したのだ。