【進撃の巨人】 never ending dream R18
第8章 出会い~真実~
「キース団長…。
もしよろしければ…
また一緒に壁外へ行ってくださいませんか?」
突拍子もないサラの言葉に、驚きの表情でキースは振り返った。
「私がまだ幼かった頃…約束したではないですか。」
サラの憂いを含んだ微笑みが、キースを優しく包み込む。
その微笑みに、14年前の光景が重なった。
内気で物静かな幼いサラを、喜ばせるためにキースが言った言葉。
そして、瞳を輝かせながら満面の笑みをキースに向けたサラ。
サラが調査兵団を志していると知ったあの日から、後悔し続けた14年前の光景。
“いつかサラを、壁外へ連れて行ってやるからな。”
“本当っ!?”
“あぁ、何度でも連れて行ってやる。”
“約束だよ。”
“あぁ、約束だ。”
「覚えていらっしゃいますか?」
サラの晴れやかな笑顔は、キースの表情を和らげた。
そして、心のどこかにあった後悔を少しだけ忘れさせてくれた。
「…機会があればな。」
そう答えると、キースは団長室を後にした。
キースの背中で羽ばたく、自由の翼にサラは敬礼をした。
キースの足音が徐々に遠のく。
静けさに包まれた団長室で、サラは机の椅子の背もたれに掛けられたマントを見つめる。
父であるエルヴィンが残したマントを…。
視界が歪んでいく。
溢れ出しそうな涙をかろうじてこらえた。
悲しみに支配されまいと、サラは団長室の窓を開け放つ。
冷たい風が部屋へと入り込む。
その風はサラの黒髪を揺らし、重く淀んでいた団長室の空気を新しくさせた。
サラは瞳を閉じ、大きく息を吸い込む。
隣にはエルヴィンがいるような気がした。
少しだけ胸が熱くなった。