【進撃の巨人】 never ending dream R18
第28章 永久に碧く~初陣~
初めて見た壁外の空は青く、どこまでも続く積雲が山の向こうへと流れていた。
風が運ぶ湿った土の匂い。
寂しげな冬の終わりを告げる暖かな春の匂い。
そっと瞳を閉じると、遠くからは鳥の鳴き声が聞こえる。
暖かな日差しを頬に受け、私達は馬を走らせた。
父の考案した“長距離索敵陣形”を用い、私達は壁外の拠点となる補給所を目指す。
前後左右が見渡せる等間隔に兵を配置し、索敵・伝達範囲を確保しつつ前進する。
この長距離索敵陣形の導入により、兵士達の生存率は飛躍的に向上した。
それでも巨人との接触は避けられず、毎回多くの犠牲者が生まれる。
そのほとんどが陣形の外側…つまり“初列索敵班”の兵士であった。
私とミケが配属されたのは左翼側、初列五・索敵班。
陣形の中で最も死亡率の高い初列索敵班だった。
どうして父は、新兵である私達を初列に配置したのだろうか…。
そこが、次列中央で指揮を執る父の視界に入る陣形の中で、最も離れた位置であった事に、あの頃の私は気付く余裕すらなかった。