【進撃の巨人】 never ending dream R18
第28章 永久に碧く~初陣~
日の出とともに調査兵団本部を発ち、ウォール・マリア南端にあるシガンシナ区を目指す。
その道のりを、私はあまりよく覚えていない。
一歩一歩…死が近付いてくる。
それと同時に、生まれ育った故郷が近付く。
初春の空はとても青空で、時おり風が運んでくる草花の芳しく眩い香りが胸を熱くさせた。
それはまるで、母を失い、父に連れられ調査兵団本部へと向かったあの日のようだった。
「…母さん。」
そうつぶやいた私の声は、すぐ後ろを走るミケの耳に届いていたのだろう。
「大丈夫か?」
馬を並走させ、そう尋ねるミケの声が、私を現実へと引き戻す。
目の前にはすでにシガンシナ区の外門がそびえ立っていた。
“壁外に行き、巨人と戦う”
調査兵団で育った私の心に植え付けられた、たったひとつの使命。
自分の番がきたのだと、私はわずかに見えた父の後ろ姿に敬礼をした。