【進撃の巨人】 never ending dream R18
第28章 永久に碧く~初陣~
今日、自分の命が終わりを迎えるかもしれない。
アンだけじゃなく、この調査兵団本部にいる者全てが同じ気持ちであっただろう。
何度も壁外へと向かい、巨人と戦ってき熟練兵士の間にでさえも、ピリピリとした独特の空気が流れていた。
もちろん私も、自分が生きて帰って来れるなどとは思っていなかった。
命はひとつ。
その命が果ててしまえば、私ももう二度とここへは戻ってこれない。
しかし、私は決してその事を口にする事はなかった。
言葉にしてしまえば、一歩ずつ死が近付いてくるような気がした。
幼い頃から私は臆病だ。
口には出さず、気丈に振る舞う。
それが私なりの強がりだったのだと思う。
「アン、必ず生きて帰って来よう。」
隣で髪を整えながら沈んだ表情を浮かべているアンに、私はそう告げる。
しかし、「…うん。」と小さな声でうなずくアンの表情は曇ったままだ。
そんなアンの手を取り、私は互いの小指を絡め合わせる。
「アン、絶対に死なないで。」
「…うん、サラもね。」
突然の“指切り”に驚きながらも、わずかに笑顔を見せてくれたアンは、絡み合う小指にそっと力を込め、私の言葉に強くうなずいてくれた。
“絶対に死なない”
遂に迎えた初陣の朝、私とアンは互いの無事を祈り、固い約束を交わした。