【進撃の巨人】 never ending dream R18
第8章 出会い~真実~
「キース団長…。
私も1つ、お聞きしたい事があるんです。」
ソファーに座り、黙り込んだままのキースにサラは語りかける。
キースの視線がサラへと向けられた。
「あの時…私が訓練所を訪れた日、あなたは即答してくださいました。
壁外へ行ってくださると…。
正直驚きました。
良いお返事を頂けるまで、何度も通うつもりでいましたので…。
私の話は支離滅裂で、不十分な説明であったと思います。
それなのに…なぜお引き受けくださったのですか?」
そう尋ねるサラを、キースは真っ直ぐと見つめた。
しばらく見ないうちに、随分と大人びた表情をするようになったと、キースは切なさに満ちた瞳をサラへ向ける。
あの可愛らしい少女のサラは、もういないのだと、キースは自分に言い聞かせた。
「なぜ引き受けたか…。
難しい質問だな。
一言で言えば…過去の清算だ。」
そう、呟くようにキースは答えた。
哀愁を帯びたその声は、キースの苦悩と後悔を現しているかのようだった。
キースはソファーから立ち上がり、サラに背を向ける。
腕を組むその背中は、サラの記憶の中の大きな背中とは違って、どこかもの悲しげに見えた。
幼い頃から憧れていたキースもまた、弱さを持ち合わせた人間なのだと、サラは悟る。
キースと初めて会った日の事を、サラは思い出す。
幼いサラに、キースは居場所をくれた。
また、家族を失い、心を痛めていたキースはサラを娘のように接してくれた。
キースが本当の父親であったら良かったのにと…本気で思った事もあった。
サラにとって、キースはいつまでも、心の内で慕い続けるであろう人だった。