【進撃の巨人】 never ending dream R18
第27章 永久に碧く~願い~
ミケの突き刺した刃は、巨人の額を貫く。
醜い叫び声を上げなら、巨人は咥えていたミケの身体を吐き出した。
地面へと放り投げられたミケの身体からは、ドクドクと血液が溢れ出す。
そんなミケの耳にふと、野太い人間の声が聞こえた。
「ソノ武器ハ何テ言ウンデスカ?」
朦朧とする意識の中、うっすらと目を開いたミケの傍らには、先ほどの獣姿の巨人が立っていた。
「ソノ腰ニ付ケタ飛ビ回ル武器ハ何テ言ウンデスカ?」
地面に横たわるミケを覗き見るように身体をかがめる獣姿の巨人。
まるで地の底から響いてくるようなその声に、ミケは言葉では表せぬほどの恐怖を感じた。
それはまるで、初めて壁外で巨人と対峙したあの日に感じた恐怖。
得体の知れないものへと触れた時に感じる恐怖が、身体の痛みとともにミケを絶望の淵へと追い詰めた。
「オカシイナ…。
同ジ言語ノハズナンダケド。」
獣姿の巨人はミケの身体へ食らいつこうとする無知性の巨人2体を制止しながら、「怯エテ声モ出セナインデスカ?」と、問い掛け続ける。
「モウ死ンジャッタノカァ…。」
ピクリとも動かないミケの身体を指で突くと、獣姿の巨人はミケの腰へと装着された立体機動装置を外した。
もはやこれまでかと、ミケはそっとその瞳を閉じる。
馬を失い、立体機動装置をも失い、粉々に噛み砕かれた脚は立ち上がる事さえできない。
「………サラ…。」
穏やかな笑みを浮かべるサラの姿がまぶたの裏に蘇る。
いつも隣で見守ってきたサラの姿。
頑固で、泣き虫で。
歌は上手いが、料理は下手で。
酒が弱く、よく風邪を引く。
花は好きだが、すぐに枯らしてしまう…。
そんな、愛しい女。
“私の右目が見えないから…ミケは私の側にいてくれるの?”
「………いいや…
お前に…惚れているからだ………。」
サラの幻影に、ミケはそう応えた。