【進撃の巨人】 never ending dream R18
第27章 永久に碧く~願い~
遠くの林から駆けてくる馬の姿が見えた。
こちらに向かい、草原を真っ直ぐと駆けてくる愛馬。
このまま夜まで耐える必要は無さそうだと、ミケはほっと胸をなで下ろした。
その瞬間、柔らかな表情で微笑むサラの姿がふと頭に浮かんだ。
眩しいほどに愛おしいその姿。
長い黒髪に、透き通る青色の瞳。
汚れを知らない少女のような淡い微笑み。
もし、ここを無事に切り抜ける事ができ、再びサラに会えたなら…思い切り抱き締めよう。
例えアイツの心がリヴァイのものであろうとも関係ない。
抱き締めて…もう二度と離しはしない。
出会ったあの日から…サラを守る事だけが俺の使命だったんだ。
早足で駆けてくる馬が、獣姿の巨人の足元を通り過ぎる。
全身が毛で覆われた20m級の巨人。
先ほどからこちらに近付くわけでもなく、ただ辺りを歩き回っている。
あれも奇行種なのだろうとミケは思う。
しかし、初めて目にするその奇っ怪な姿に、ミケ妙な胸騒ぎを覚えた。
馬が獣姿の巨人の足元をすり抜ける。
巨人は人間以外の生き物に興味を示す事はない。
当然、獣の巨人も例外ではなく、足元で動き回るミケのに愛馬に興味を示す様子はない。
「…アイツのところへ帰らなくてはな。」
そうつぶやくと、ミケは愛馬のもとへ駆け寄ろうとした。
その時だった。
突然、獣の巨人は毛に覆われた腕を伸ばし、足元にいる馬を掴んだ。
獣の巨人によりいとも簡単に持ち上げらる馬。
身体を仰け反らせながら小さな悲鳴をあげると、巨人の手の中でパキパキと骨を砕かれ、ぐったりと動かなくなってしまった。
突然の出来事にただ呆然とするミケを、獣姿の巨人は見つめる。
薄ら笑いを浮かべ、潰れた馬の残骸をもてあそぶように手の中で潰し続けた。
「…なっ…なんだ…あの獣の巨人は…。」
困惑するミケに、獣姿の巨人はニタリと不気味な笑みを浮かべた。