【進撃の巨人】 never ending dream R18
第27章 永久に碧く~願い~
先ほどまで物陰に隠れていた1体の巨人が、建物の屋上に留まっているミケ目掛け、両手を振り上げながら襲いかかってきた。
「…っ!!」
ミケはすかさず巨人の額にアンカーを打ち込み、身体を回転させながら巨人の両手を切り落とす。
噴き出すように飛び散る真っ赤な血液に、ミケは思わず目を閉じた。
“私の右目が見えないから…ミケは私の側にいてくれるの?”
巨人の断末魔の叫び声とともに、なぜかサラの声が聞こえたような気がした。
ミケは苦しみ悶える巨人の頭上高くへ昇り、身体を一気に降下させる。
しなる刃が巨人のうなじを鋭く削ぎ落とす。
何度経験しようとも、この瞬間ばかりは何とも言葉では表現しがたい後味の悪さを感じた。
「サラ…。」
再び口をついて出るその名前。
こうして離れていても思い出すのは、やはりアイツの事ばかりだとミケは思う。
巨人の頭上高くから、身体を一気に降下させてうなじを削ぐ。
気が付けばアイツの戦い方ですら真似てしまうようになっていたと、両手の剣を強く握り締めた。
「例えお前の右目が見えていたとしても、俺はお前の側を決して離れる事はなかっただろうな…。」
蒸発していく巨人の身体を見ながら、ミケはどこからともなく聞こえたサラの声に応えるようにそうつぶやいた。
「…あと3体か。」
建物の周りを往来する2体の巨人。
少し離れた草原をただあてもなくさ迷う獣姿の巨人。
時間は十分稼いだはずだ。
兵士達を含む近隣住民は皆、かなり遠くまで避難する事が出来ただろう。
馬が戻ってきさえすれば、ここから離脱出来る。
ミケは指笛を鳴らし、近くにいるであろう愛馬を呼んだ。