【進撃の巨人】 never ending dream R18
第27章 永久に碧く~願い~
♦
「…あと4体か。」
立体機動で屋上へと再び舞い戻ったミケは、建物の周りを往来する4体の巨人を見つめながらつぶやいた。
林から突如姿を現した9体の巨人。
その巨人達から逃れるべく、兵士達は馬に乗り施設を離れた。
しかし、巨人達は施設の建物へと到達した瞬間、離散する兵士目掛けて驚くほどの速さで後を追ってきたのだった。
このままでは追いつかれてしまう…。
不安と恐怖、そして絶望が兵士達の心を襲う中、ミケは自らが“おとり”となり、施設の建物へと留まった。
無防備な状態の新兵達の事が気がかりではあったが、信頼のおける部下であるナナバ、ゲルガーに全てを託し、ミケは剣を振るい戦っていた。
単独での討伐は、調査兵団の中でも限られた熟練兵士だけが成せる業。
リヴァイに次ぐ実力者といわれるミケにとっては、そう難しい事ではないだろう。
しかし、9体もの巨人を1人で相手にするなどという事は今まで一度も無かったはずだ。
折れてしまった数枚の刃。
蒸発していく巨人の身体の横で、物陰に身を潜めてこちらを伺っている巨人。
そろそろ、ここを離れるべきだろうか。
ミケの身体にも、徐々に疲労の色が見え始めていた。
「…サラ。」
無意識に呼んでしまったその名前に、ミケは思わず笑いが込み上げた。
どうしてこんな時でさえも、アイツの事を思い出してしまうのだろうとミケは思う。
きっと今頃、アイツはリヴァイとともにストヘス区を目指している頃だろう。
いつものように、馬車の窓から流れる街並みを眺めているだろう。
愛する男の側でアイツは…
ミケは手に持った操作グリップから折れた刃を外し、新たな刃を付け替える。
「…俺がいなくても、サラの側にはリヴァイがいるんだな。」
ふと、思い出したようにミケがポツリとつぶやいた…その時だった。