• テキストサイズ

【進撃の巨人】 never ending dream R18

第27章 永久に碧く~願い~


「…住民達を避難させないと!」

ナナバは建物の中にいる新兵に指示を出すため、屋上から慌てて飛び降りる。

遠くの林を見つめるミケの額からは、冷たい汗の粒が流れ落ちていた。



林の中から姿を現す9体の巨人。



再び壁が破壊されたと…そう捉えるべきなのだろうか。

トロスト区やクロルバ区の扉が破壊されたのならば、すぐさま報告があるはずだ。

もし、破壊されたのが扉部分以外の壁だとすれば、その規模は計り知れない。

そもそも、壁に空けられた穴が扉部分だったとしても、都合の良い大きさの岩が付近にない限り、エレンがいても穴を塞ぐ事は不可能。



それはつまり…考えうる限りで最悪の事態が、今起きているということ。



こちらへと迫り来る巨人達の姿を見つめながら、ミケは思考を巡らせた。





「ミケ…。」

建物の屋上へと再び登ってきたナナバは、巨人を見つめたまま微動だにしないミケの背中へと呼びかけた。



「ウォール・ローゼが…?」

「あぁ、そう捉えるべきだろう。」

「嘘でしょ…?」

「いいや、現実だ。」

「それじゃあ、新兵達の中に共謀者はいなかったって事なの?」

「あぁ、そういう事になるだろう。」

「そんな…。
私達が疑ったばっかりに、あの子達を無防備な状態でこの状況に放り出してしまう事になるなんて…。」



ナナバはそのまま膝から崩れ落ち、迫り来る巨人の群れを見つめた。



「私達は…巨人の正体も…それ以外の敵勢力を見つけ出す事にも失敗し…この日を迎えた。

人類は負けた…。」



普段はあまり見る事のないナナバの茫然たる姿。

幾度となく壁外で巨人と対峙してきたナナバでさえも、これから起こり得るであろう最悪の事態に身体がすくみ、座り込んだまま動く事さえ出来ずにいる。



ミケはそんなナナバの腕を強く掴み、ゆっくりと引き起こす。



「まだだ。

まだ負けてなどいない。」



大きな身体を揺らしながら近づいてくる巨人の群れを見つめ、ミケは真剣な表情でそうつぶやいた。





/ 841ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp