【進撃の巨人】 never ending dream R18
第27章 永久に碧く~願い~
「…ねぇ、またサラの事考えてるんでしょ?」
目を閉じ、風の中に含まれるわずかな匂いを感じていたミケへ、ナナバがからかうように尋ねる。
「任務に集中しろ。」
そうポツリと応えるミケに、「たまにはサラ以外の事も考えた方がいいよ。」と、ナナバは呆れたように笑った。
数日前、壁外調査から帰還した日の夜。
ミケは裸で抱き合うサラとリヴァイの姿を目撃した。
恋人同士なのだから、身体の関係があるのは当然の事。
兵舎の部屋では、時おり隣の部屋で眠るサラの元をリヴァイが訪ね、朝まで共に過ごしている事も知っていた。
しかし、初めて目にした2人の抱き合う姿。
心ではとっくに折り合いがついているはずだったサラへの想いは、激しい痛みとなってミケの心を苦しめていた。
“またサラの事考えてるんでしょ?”
ナナバの言葉はいつも核心をつくと、ミケは腕を組み、深いため息をつく。
出来る事ならば、今はサラの事を考えたくはない。
抱く事の出来なかった女をいつまでも想い続けていられるほど、自分は女々しい男ではないと、ミケは大きく息を吸い込んだ。
その瞬間、遠くに見えていた林が風に吹かれ、大きく揺れた。
冷たい秋風がミケの頬をかすめる。
その風に含まれたわずかな匂い。
その匂いに、ミケの表情が険しいものへと変わった。
「トーマ!早馬に乗って連絡しろ!」
ミケは建物の下にいるトーマへ向かい、そう叫ぶ。
「ミケ、どうしたのっ!?」と、慌てるナナバへミケは緊迫した口調でこう告げた。
「南より、巨人が多数襲来!!
ウォール・ローゼは…突破された!!」