【進撃の巨人】 never ending dream R18
第26章 永久に碧く~守りたい~●
狭いクローゼットの中、ふと、サラは足元に何かが転がっている事に気付く。
古めかしい細長い布製の袋。
それは、母親の形見である刀が収められている袋だった。
2人に気付かれぬよう、サラはそっと身体をかがめ、足元に転がる刀へと手を伸ばす。
音を立てぬよう、それをゆっくりと拾い上げる。
夢の中であるはずなのに、サラの手にはずっしりとした刀の重みが伝わった。
その瞬間、袋の中の刀がわずかにカシャンッと音を立てた。
しまったと、サラは慌てて刀を胸に抱え、クローゼットの隙間から2人の様子をうかがう。
ギシギシと音を立て続けるベッド。
荒々しい息づかいを繰り返し、クレアの身体へと覆い被さるエルヴィン。
そんなエルヴィンをきつく抱き締めるクレア。
しかし…
クレアの瞳は、クローゼットの中にいるサラを見つめていた。
クレアの視線に驚いたサラは、思わず「…ひっ。」と、小さな悲鳴を漏らす。
慌てて口を押さえるが、その小さな悲鳴は確実にクレアの耳へと届いていたのだろう。
気付かれてしまったと、クローゼットの中で動揺するサラの瞳を、クレアの大きな瞳がじっと見つめていた。
どうすればいいのだろう…。
いっそのこと、クローゼットから泣きながら飛び出してしまおうか。
いいや…そんな事など出来ない。
クレアの瞳から逃れるように、サラが目を閉じようとした…その時だった。
クレアはエルヴィンの身体を抱き締めたまま、人差し指を立て、その指をそっと自身の唇に押し当てた。
“静かにしていてね。”
そう訴えかけるように、クレアはサラの顔をじっと見つめる。
涙を蓄えた大きな美しいクレアの瞳。
その瞳に見つめられ、サラの意識は徐々に現実の世界へと引き戻されていった。
“サラちゃん、ごめんね。
あの時、本当はね………
サラちゃんがいる事に気付いていたの。”
夢の世界と現実の世界の間。
眠りから覚めようとするサラの頭に、クレアの悲しげな声が響いた。