【進撃の巨人】 never ending dream R18
第26章 永久に碧く~守りたい~●
腹這いになり、何とか机の横へとたどり着いたサラは、再び冷たい床へと倒れ込んだ。
相変わらず、瞳からは一筋の涙が流れ落ちてくる。
その瞳を閉じれば再び、壁外で倒れていった仲間の顔が浮かんでは消えていく。
今日はこのまま仲間達を想い続けようと、サラはあお向けになり、窓の外に広がる夜空を見つめた。
しんと静まり返った団長室。
壁に掛けられた時計の針だけが規則的な音を鳴らす。
ふと、そんな秒針の音と重なり合うように、廊下を歩く足音がする事に気が付いた。
コツコツとこちらへ向かってくる足音。
その足音は、団長室のドアの前でぴたりと止まった。
サラは寝返りをうち、机の陰からドアを見つめる。
一体誰だろう…。
そう思った次の瞬間、団長室のドアがゆっくりと開いた。
「…ノックぐらいしたらどうなんだ?」
部屋へと入ってくる人影に、サラはあお向けのまま問い掛ける。
しかしその人影は、そんなサラの問い掛けに応える事無く、コツコツと音を立てながら、床に倒れるサラのもとへと近付いてきた。
「…返事をしたらどうだ?リヴァイ…。」
ランプの炎が、リヴァイの横顔をわずかに照らし出した。
「君はエレンと一緒じゃなかったのか?
早く…古城に帰りなさい。」
いつものように冷たい三白眼でこちらを見下ろしているリヴァイへ向け、サラはそう声をかける。
しかし、リヴァイはその言葉に応える様子はなく、床に横たわるサラの顔をただ見つめているだけであった。
「…早く帰りなさい…リヴァイ。」
心も、身体も許しているリヴァイとはいえ、こんな無様な姿を見せたくはなかった。
それは、女ではなく…団長としてのプライド。
サラはリヴァイから視線をそらすように、再び窓の外を見つめた。
しかし、リヴァイはそんなサラの顔をのぞき見るように、その場に膝をついてしゃがみ込む。
次の瞬間、サラの頬を流れる一筋の涙を、リヴァイの指がそっとすくい取った。
「…泣いてんじゃねぇよ。」
ひどくかすれた声で、リヴァイはそうつぶやいた。