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【進撃の巨人】 never ending dream R18

第26章 永久に碧く~守りたい~●


一つに結わえていた髪を解こうと、サラはソファーに横たわったまま、襟足へと手を伸ばす。

髪を束ねていた紐を強引に引っ張る。

ハラリと解け落ちた黒髪からは、石鹸の香りに混じり、わずかに血の臭いがしたような気がした。



その瞬間、ドンッと大きな音を立て、バランスを崩したサラはソファーから転げ落ちた。

ソファーとテーブルの隙間の床へ、サラはうつ伏せで倒れる。

冷たい床の感触が頬に伝わる。

そっと瞳を閉じると、壁外で倒れていった仲間の顔が浮かんでは消え、気が付けば、再び一筋の涙が頬を伝っていた。



“魂が泣いているんだよ。”



昔、誰かが言っていた言葉を思い出す。



時おり、理由もなく頬を伝い流れる一筋の涙。

朝、目覚めた瞬間に流れる時もあれば、こうして心では折り合いがついているはずの事に流れ落ちる時もある。



“心じゃなく、魂が泣いているんだよ。”



そう言っていたのは一体誰だったかと、サラは冷たい床に頬を付けたまま、忘れかけていた遠い日の記憶を思い出そうとしていた。



しかし、いつまでもここで倒れているわけにはいかない。

数日後にはエレンの身柄を憲兵団へ引き渡すため、調査兵団の主要幹部が王都へと招集されるだろう。

“エレンが人類にとって“有意義”な存在である事を証明する。”

それは、調査兵団がエレンを管理下に置くための条件の一つであった。



しかし、それが叶わなかった今、エレンの処遇が再び問われようとしている。



何とかそれまでに、打開策を見つけなければ。



サラは重たい身体を何とか起こし、床を這いずるように、ソファーとテーブルの隙間から抜け出した。




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