【進撃の巨人】 never ending dream R18
第26章 永久に碧く~守りたい~●
「…“お母さん”なんて、呼べるわけないのにね…。」
「あぁ。
ただ…幸せそうな父親の顔を見て、俺は安心したんだ。
新しい家庭を築いてほしいと、心からそう思った。」
「死んだ母さんを裏切った…
そんな風には思わなかったの?」
「そんな事は思わない。
これで母親も安心出来るだろうと思った。
父親は…本当に何も出来ない人だったからな。」
「そう…。」
“私は思ったよ。”
心の中で私はそうつぶやく。
父とクレアの関係を知ってしまったあの日。
あの時の私は、2人の関係を許してしまったら、愛する母を裏切るような気がしたのだ。
「お前はどうなんだ?
調査兵団団長である父の影響か?」
ミケがそう問い掛ける。
「私はただ…
愛する家族を守りたかった。
大切な人を守りたかった。
もう、誰も死なないように…。
だから…強くなりたかったんだ。」
私の言葉に、ミケは「そうか。」と言った。
テーブルの上に置かれた手持ちランプの薄明りをたよりに、教本のページをパラパラとめくる。
こうして夜の食堂にやってくるのは、座学の勉強のためだとミケは言っていたが、本当はいつも私の話し相手になってくれていた事に、何となくだが私は気付いていた。