【進撃の巨人】 never ending dream R18
第26章 永久に碧く~守りたい~●
「ねぇ、1つ聞いてもいい?」
「…何だ?」
「…ミケはどうして訓練兵団に入ったの?」
ハンジは幼い頃に祖父から聞かされた巨人の話に衝撃を受け、いつか本物の巨人に会いたいと、調査兵を志し、訓練兵団に入ったと言っていた。
ロイもまた、駐屯兵団である父親の影響からか、物心ついた時から既に駐屯兵になる事を決めていたという。
しかし、ミケがこの訓練所へやってきた理由を私は知らなかった。
この1年間、常に行動を共にしてきたにもかかわらず、ミケとはその類い話をした事は一度もなかったのだ。
ミケは少し考えた様子を浮かべ、こう言った。
「…父親が再婚する事になったんだ。」
「…再婚?」
「あぁ。」
ミケは再びテーブルの上に広げた教本へと視線を落とす。
初めて聞いたミケの家族の話。
それはどこか自分の生い立ちにも似ており、忘れていたはずの胸の小さな傷がズキンとわずかに痛んだ。
「8歳の頃、母親が病気で死んでから、ずっと父親と2人だけの生活だった。
14歳になった時だ。
突然、父は若い女性を家に連れて来てこう言ったんだ。
“新しいお母さんだ。”と。
その女性の身体には、既に新しい命が宿っていた。
だから…俺は家を出たんだ。」