【進撃の巨人】 never ending dream R18
第26章 永久に碧く~守りたい~●
あの事件以来、私の右目は徐々に視野が欠けはじめていた。
その事に気付いていたのは、おそらくミケだけであっただろう。
巨人の模型を用いた立体機動訓練のさい、片目では目標との距離感が掴めずにいた私の右側には、常にミケがいてくれた。
巨人の頭上高くから、身体を一気に降下させてうなじを削ぐ。
そんな自分なりの戦い方が生まれたのも、間違いなくミケのおかげだろう。
距離感の分からない私は、少しでも巨人との間合いをとるために、巨人の頭上高くへ昇る。
そこから一気に身体を降下させれば、身体が小さく力の弱い私でも、それなりの衝撃を与える事が出来た。
片目が見えない私が、こんなにも大胆な方法をとる事が出来たのは、常に私の“右側”をミケが守ってくれているという安心感からだった。
「私の右目が見えないから…ミケは私の側にいてくれるの?」
「………。」
「嬉しいけど…ミケにはきちんと自分の意思で所属兵科を決めてほしいよ。」
私の言葉に答える事なく、ミケはテーブルに広げた教本へと視線を落とした。