【進撃の巨人】 never ending dream R18
第25章 永久に碧く~交差~
ふと、窓辺にたたずんでいたはずのミケの手が、机に向かうサラの左手に重なった。
後ろから抱き締めるかのように、ミケの身体がサラの背中へと密着する。
サラは特に驚いた様子もなく、机の上へと広げた陣形図を見つめ続けた。
そんなサラの長い黒髪に、ミケの息遣いが優しく伝わった。
「今日はリヴァイの匂いがしないな。
しばらく会っていないのか?」
「えぇ、リヴァイはエレンの“子守り”で忙しいからな。」
ミケはサラの髪を片側に寄せ、露わになったうなじへと口付ける。
そんなミケに構う事なく、サラは陣形図へとペンを走らせた。
「…拒まないのか?」
いつもであれば重ねた手を振り払い、不快そうな表情を浮かべるはずだと、何の反応も示さずにいるサラへ、ミケはそっと問い掛けた。
「何度拒んでも君はやめてくれないじゃないか。
いい加減、私だって疲れてしまったよ。」
サラはペンを置き、そっと後ろを振り返る。
窓から差し込む朱色の光を背中に受け、真剣な眼差しでこちらを見つめるミケに、サラは柔らかな笑みを向けた。
「拒まなくても…いつも君は“これ以上”の事をしてこないじゃないか。」
全てを見透かしているかのようなサラの青い瞳がミケを見つめる。
そんなサラの瞳から逃れるように、ミケは視線をそらした。
いつも後ろから身体を密着させ、スンスンとサラの匂いを確かめるミケ。
手を重ねたり、首筋に口付ける事はあるが、決して“それ以上”を求めてくる事はない。
それならば、わざわざ拒む必要も無いのではないか。
そう、サラは思っていた。