【進撃の巨人】 never ending dream R18
第7章 出会い~選択~
先ほどまで降り続いていた雨が、いつの間にか上がっていた。
どす黒い雲の隙間から、光が差し込んでくる。
草木を濡らす血と雨の雫が、日の光を蓄え、輝きをまとった。
リヴァイの持つ剣の刃は、サラの首筋から紅い血を生み出す。
それはとても美しかった。
紅潮したサラの唇が動く。
「殺したければ殺せ。」
サラの低く抑揚のない言葉がリヴァイに向けられる。
思いもよらないサラの言葉に驚き、リヴァイは何かを言いかけるが、開きかけた唇を強く噛み締めた。
わずかに、刃の力が弱まった。
「私が死んだ後は、キース団長が指揮を執ってくれるだろう。
お前はミケと共に、乾いた音響弾を取りに荷馬車班へ向かえ。
そこを起点に、隊を再編成しろ。
可能であれば先頭のキース団長と合流してくれ。
リヴァイ…生きて帰還しろ。
これは命令だ。」
リヴァイの表情が青ざめる。
サラの首筋に食い込む刃が、わずかに震えた。
「なぜだ…?」
リヴァイの声は、細くかすれていた。
サラの青い瞳から、一筋の涙がこぼれた。
「私達は今まで…壁外調査において数え切れないほどの巨人を殺した。
そしてそれは、数え切れないほどの仲間と家族を失う結果になった。
巨人には心が無いんだ。
私達が感傷的になっている間にも、奴らは私達を食い殺そうとやってくる。
ならば、努めるべきは迅速な行動と、最悪を想定した非情な決断だ。
調査兵団の命には優先順位がある。
今、調査兵団に必要なのは、私ではなくお前だ。
お前の力が必要だ。
ここで、お前と刺し違えるわけにはいかないんだよ。」
サラがそっと瞳を閉じた。
「私は兵士だ。
壁外へ出る以上、いつどの様な形で自分の命が朽ちようとも…
後悔は無い。」