【進撃の巨人】 never ending dream R18
第24章 エルヴィン・スミス①
サユリに会えるまでの1週間が、とても長く感じた。
俺は毎晩、兵舎の窓から月を眺めていた。
月が見えない夜は、言葉では言い表せないほどの空虚感が胸を襲った。
サユリのいない人生など、俺には考えられない…。
たった2回しか会った事のない彼女に、そんな感情を抱くのはおかしいのかもしれない。
しかし、男と女が恋に落ちるには、時間も理由もいらないのだろう。
俺にとって、サユリは間違いなく運命の女だった。
サユリとの約束の日、訓練を終えた俺達の元へ、調査兵団の幹部が数名やって来た。
毎年通例となっている、新兵の勧誘だ。
彼等は俺達訓練兵に向け、こう告げた。
“3ヶ月後に控えた壁外調査に、今期卒業の新兵調査兵も参加してもらう。”
慢性的な人員不足が問題となっていた調査兵団では、訓練兵団を卒業したばかりの新兵でさえも壁外へとかり出される事となる。
新兵が最初の壁外調査で死亡する確率は5割…。
サユリと会うのは今夜で最後にしよう。
俺はそう、心に決めた。