【進撃の巨人】 never ending dream R18
第24章 エルヴィン・スミス①
「この詩の作者は若くして故郷を離れ、遠く放浪の旅に出たそうです。
その時に詠んだのが先ほどの詩で、最後の、“キミ ヲ オモエドモ ミエズ”という部分は、私達の言葉に直すと、“君を想えども、見えず”という意味にあたります。
“君を想えども、見えず”
“君”というのは、月の事を指しているのだと、私は母から教わりました。
しかし、私は思うんです。
故郷を離れ、ひとり、舟に揺られながら果てのない旅に出た…
そんな作者にはきっと、想いを寄せる方がいて、月を見上げる事で、きっとその方を思い出していたのではないか。
もしくは…月そのものを、愛する方と重ね合わせ、見つめていたのではないか…そう、思うんです。」
「…まるで、俺のようだな。」
「あなたも、月を見上げるのですか?」
「あぁ。
君に会いたくて…毎晩、君を想いながら月を見上げていた。
おかしいだろ?」
自分の言った言葉に照れ、伏し目がちになる俺に、彼女は柔らかな表情で「いいえ、おかしくなどありません。」と、答えてくれた。