【進撃の巨人】 never ending dream R18
第24章 エルヴィン・スミス①
「もし良ければ、君の話も聞かせてくれないか?
君の事が知りたいんだ。」
俺がそう尋ねると、彼女は少し戸惑った表情を浮かべた。
しかし、「…あなたになら。」と、彼女は小さく微笑むと、様々な話を俺にしてくれた。
彼女はこの壁の中の世界では数少ない“東洋人”と呼ばれる民族である事。
人類がこの壁の中の世界へと逃げ込んだ際、少数派であった東洋人は、多数派の民族に迫害を受け、奴隷として扱われてきた事。
彼女もまた、幼くして訓練所近くの農夫婦のもとへ働き手としてやってきた事。
しかし、農夫婦には子供がおらず、彼女を我が子のように可愛がってくれている事。
そして、実の両親はすでに他界してしまっている事。
「先ほどの詩は、幼い頃に母から教わったものです。
あなたももう、お気付きでしょうが、あれは間違いなく“壁外の文化”です。
私は物心ついた時から、母の詩を聴き、それに合わせて舞う父の姿を見てきました。
“剣舞”と呼ばれる“武士の舞”です。
先ほどの詩は全て、私達の先祖が暮らしていた東洋の言葉です。」
そう言うと彼女は、大きく息を吸い込み、深みのある声で詠いはじめた。