【進撃の巨人】 never ending dream R18
第24章 エルヴィン・スミス①
彼女の前へとひざまずいた俺は、きっと母親にすがりつく子供のような表情を浮かべていたのだろう。
彼女のつぶらな黒い瞳の前では、俺は公に心臓を捧げた兵士などではなく、ひとりの男になっていたのだと思う。
そんな俺の心を見透かしているかのように、彼女は優しい眼差しで俺を見つめた。
まるで吸い込まれそうな瞳。
ふと、彼女の手がゆっくりと俺の頬に触れた。
「私こそ、ごめんなさい。
…痛かったでしょう?」
彼女の手が、俺の頬を優しく撫でる。
突然の事に戸惑う俺の顔を見つめながら、彼女はまるで子供を諭すような柔らかな表情を浮かべた。
「あなたは…不思議な人ですね。」
彼女がそう微笑む。
まるで女神のようなその微笑み。
気が付くと、彼女につられたように、俺の表情にも笑みがこぼれていた。
2人の間に、穏やかな沈黙が流れる。
“愛おしい。”
それ以上の言葉など思いつかない。
この日俺は、まだ名前も知らない彼女に、人生で最大の恋をしたのだった。