【進撃の巨人】 never ending dream R18
第24章 エルヴィン・スミス①
一体、自分は何をしているのだろうと思った。
山中で女性を追い掛け、怪我をさせてしまい、歩けなくなったところを抱きかかえる。
これじゃまるで異常者よりも、ただの変質者のようだと俺は思う。
「本当に、すまない。」
ただひたすら謝り続ける俺に、彼女が応える事はない。
しかし、俺の首へとしがみつく彼女の腕からは、いつの間にか震えが止まっていた。
道が開け、再び湖のほとりへと出た俺は、近くにある岩の上へゆっくりと彼女を下ろした。
「ここからなら、帰れるか?」
「はい…。ありがとうございます。」
深々と礼をする彼女に、「礼などいらない、俺が君に怪我を負わせたのだから。」と、俺は言った。
名前すら知らない、出会ったばかりの彼女。
もし、このまま別れてしまえば、二度と会う事はないのだろう。
なぜなら…
湖のほとり、月明かり照らされながら岩に腰掛ける彼女の姿は、やはり“幻”のように美しかったからだ。