【進撃の巨人】 never ending dream R18
第24章 エルヴィン・スミス①
「…立てるか?」
手当てを終え、そう問い掛ける俺の顔を見つめながら、彼女は「…はい。」と、小さくうなずいた。
彼女の小さな手を取り、ゆっくりと立ち上がるよう促す。
しかし、思っていたよりも傷の痛みは強く、彼女は一瞬フラつくと、再び草むらへと座り込んでしまった。
「どうか…家まで、送らせてくれないか?」
「…いいえ、ひとりで帰れますから。」
「しかし、この森には狼がいる。
君のその脚では逃げる事はおろか、まともに歩く事すら出来ないだろう。
せめて、先ほどの湖までは送らせてほしい。」
俺の言葉に、彼女はうつむき、そのまま黙り込んでしまった。
彼女に怪我をさせてしまった。
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
“愛おしい”
出会ったばかりの彼女に、こんな感情を持つ事自体、おかしな事なのだろう。
しかし、この胸に湧き起こる感情を、一体どうすればいいのだろうか…。
俺はうつむく彼女の身体を、そっと抱きかかえた。
「…ひとりで歩けます。」と、慌てふためく彼女をなだめ、俺は来た道をゆっくりと引き返した。