【進撃の巨人】 never ending dream R18
第24章 エルヴィン・スミス①
「憲兵団ではない。
俺は訓練兵団所属、エルヴィン・スミスだ。
君に危害を加えるつもりはない。」
そう言うと、俺は彼女の手から木の枝を取り上げた。
もし俺が憲兵団であったなら、彼女はこの枝で喉を切り裂き、死のうとでもしたのだろうか。
カタカタと震える彼女の手からは、言い表せぬほどの恐怖が伝わってきた。
「危害を加えるつもりはないと言ったが…その脚の傷は間違いなく俺の責任だ。
本当にすまない事をした。
せめて、手当てをさせてほしい。」
俺は、膝から流れる血を止めようと、めくれあがったスカートの裾から覗く彼女の脚にそっと触れた。
その瞬間、パンッと大きな音を立て、俺は彼女から平手打ちをくらう。
ふと、彼女の顔を見つめると、つぶらな黒い瞳には、こぼれんばかりの涙が溢れていた。
「君の嫌がるような事は何もしない。
ただ…手当てだけはさせてほしい。
そして、出来れば家まで送らせてくれ。
この脚で、森の中を歩くのは危険だ。」
俺は出来る限り、彼女を怖がらせまいと穏やかな口調でそう言った。
しかし、止血のためにハンカチを巻く彼女の脚は、カタカタと小刻みに震えたままであった。