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【進撃の巨人】 never ending dream R18

第23章 咽び泣く~決意~●


“エルド・ジン”



リヴァイ率いる特別作戦班に所属する兵士であり、今となっては調査兵団で唯一の既婚者だ。

その経歴は変わっており、訓練兵団卒業後、駐屯兵団に数年在団したのち、自ら調査兵団に編入を希望している。



その理由は5年前。

ウォール・マリア陥落のあの日、破壊された穴から押し寄せる巨人の脅威を目の当たりにした事にあるだろう。



あの日、彼は壁外調査から帰還する調査兵団を援護するため、シガンシナ区壁門にいた。

調査兵団が壁外調査に向かっている間、シガンシナ区内には武装強化が命じられている。

いつ帰還するか分からない調査兵団を守るためという理由であったが、実際は壁外調査廃止派による混乱を避けるためであった。

そのため、ウォール・マリア内にいる駐屯兵団の一部も、この時ばかりはシガンシナ区へとかり出されてしまう。

エルドも、そんな駐屯兵の中の1人だった。



いつものように重傷を負いながらも帰還した調査兵団を見届けた数時間後、シガンシナ区をあの悲劇が襲った。



サラ達、調査兵団が早馬の伝達を受け、シガンシナ区へと向かった時には、逃げ遅れた住民をはじめ、巨人と交戦した駐屯兵はほとんど息絶えていた。

そんな中、仲間を失ってもなお、巨人へと果敢に立ち向かう1人の兵士がいた。

それがエルドであった。



実戦経験など無いはずの駐屯兵でありながら、調査兵団の主力兵士に匹敵するほどの強さ。

彼は調査兵団とともに巨人の侵入を阻止するべく戦った。

当時はまだ“兵士長”の肩書きなど無いリヴァイの側に付き、補佐を務めた。



しかし、そんなエルドの働きも虚しく、破壊された壁を塞ぐ手段を持たない人類は、シガンシナ区をはじめとするウォール・マリア全域を放棄せざるを得なかった。





撤退命令が下り、ウォール・ローゼ最南端にあるトロスト区の壁上へ登ったサラは、疲弊し、その場に倒れ込むエルドへこう問い掛けた。



“君は…巨人が怖くないのか?”



その質問に、エルドはこう答えた。



“巨人に愛する人の命を奪われるほうが怖かった。”




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