【進撃の巨人】 never ending dream R18
第1章 寒い夜
♦
リヴァイにとって、サラの団長室は初めての場所ではない。
サラは1日の大半を団長室で過ごす。
そのため、リヴァイは何か用事があれば団長室を訪れた。
時間を忘れ、雑談を交えた事もある。
しかし、ランプの明かりがうっすらと灯る深夜の団長室は、昼間とは全く違う場所のようだった。
リヴァイは壁際のソファーに腰を下ろし、紅茶を一口すする。
サラは相変わらず忙しそうに、机の書類と向き合い始めた。
少し休んだらどうだ?
言いかけた言葉を紅茶と一緒に流し込む。
お前の身体が心配だ。
そんな事を言ったとしても、お前はただ微笑むだけだろう。
全てを見透かした様な瞳で…。
ティーカップをテーブルに置く。
カタッという音だけが部屋に響いた。
いつの間にか風は止んでいた。
リヴァイは、ふと、部屋を見渡す。
正面の壁一面は天井まで本棚で埋め尽くされ、隙間なく本が収められている。
大きな窓にカーテンは無く、ランプの明かりとサラの後ろ姿が映っていた。
机に向かうサラの横顔から、ドアへと目を移す。
ドアの上には、1枚の肖像画が掛けられてあった。
今まで気付かなかったが、それは確かに以前からそこに掛けられていたに違いない。
少なくとも、サラが団長に就任した2年前から…。