【進撃の巨人】 never ending dream R18
第23章 咽び泣く~決意~●
あれは、いつだっただろうか…。
この壁内の世界では、壁外の物や文化を持ち込む事が禁じられているどころか、壁外へ興味を持つ事さえも御法度とされている事を私は知った。
そして、気付いてしまった。
私の“密告”が、母を殺したという事に…。
それからというもの、私は母への愛しさと罪悪感を抱え、この日まで生きてきた。
そしてそれは、父や弟への“後ろめたさ”へと変わり、ふたりと距離を置く事で、私は自分の罪から逃れようとしていた。
この調査兵団本部で共に暮らすようになってからも、父と私の距離が縮まる事が無かった最大の理由。
父に甘える事が出来なかった最大の理由。
それは、愛する母を殺したのは自分だという曲げようのない事実だった。
「母さんは…憲兵団に…殺されたんでしょ?
母さんは…私が…殺したんでしょ?」
父のマントを握り締め、私は震える声で問い掛ける。
きちんと“罰”を受けなくては…。
きちんと償わなければ…。
そんな事を、思った。
しかしその瞬間、私を抱き締めていた父の腕が力を増した。
「…お前は何も悪くない。」
そう言いながら、父は私の身体をきつくきつく抱き締める。
ひどくかすれた父の声。
まるで泣いているようなその声…。
「…父さん…ごめんなさい…。」
私は父の背中へと腕を回し、翠色のマントをきつくきつく握り締めた。