【進撃の巨人】 never ending dream R18
第23章 咽び泣く~決意~●
遠のく意識の中で、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
“…サラ。”
“…サラ、サラ。”
低く心地の良い声。
痺れた身体を包み込む温もり。
頬に感じていた冷たい床の感触がなくなっていく。
名前を呼ぶ声が、先ほどよりも大きく聞こえた。
“サラ。”
“サラ、しっかりしなさい。”
耳元で聞こえる声。
徐々に意識が戻っていく。
湿った土と生臭い血の臭い。
そして、いつも大きなシャツから香っていた…大好きなあの匂い。
ぐったりとした私の身体を抱き締めていたのは、紛れもない、父の大きな大きな腕だった。
ずっと、触れたくても触れられずにいた父の身体。
本当は甘えたかった父の温かい腕。
嬉しいはずなのに、私の瞳からはとめどなく涙が溢れた。
そっと目を開くと、父の肩越しに格技場の扉が見えた。
開けっ放しの扉から、朱色の光が差し込む。
眩し過ぎるその光に、私は再び目を閉じる。
父に触れたい。
父に甘えたい。
そんな私の願いが叶った日、この世界から大好きなクレアはいなくなってしまった。