【進撃の巨人】 never ending dream R18
第23章 咽び泣く~決意~●
私は部屋のドアを閉め、どこへ向かう事もなく、ただ廊下を歩いた。
ギィギィと、木造の廊下が嫌な音を立てる。
その音は私の胸へと突き刺さり、激しい痛みとなって体中を駆け巡った。
大好きなクレア。
可愛らしいクレア。
私の絵を褒めてくれた優しいクレア。
私の髪を結わえてくれたクレア。
もう二度と会えない、私のお姫様…。
廊下を歩く私の脚は、徐々に駆け足へと変わっていた。
女子棟の廊下を走り、階段を登って幹部棟の廊下へと出る。
まだ誰も戻らない幹部棟に、私の足音だけが響く。
幹部棟の端にある父の部屋。
私は鍵の掛かっていない父の部屋へ忍び込むと、ベッドの下に隠してある刀をきつく握り締めた。
そして…誰もいないであろう格技場へと向かった。
脚がもつれ、何度も転びそうになりながら、私は調査兵団本部の端に建つ格技場へと向かう。
途中、ボンベを運ぶ兵士数名とすれ違ったような気もしたが、そんな事はもうどうでも良かった。
私は無我夢中で、格技場を目指す。
今にも壊れてしまいそうな私が、ただ一つ出来るであろう事。
それは、母から託された剣舞。
“戦に敗れた武士達への弔いの舞”だった。