【進撃の巨人】 never ending dream R18
第23章 咽び泣く~決意~●
クレアの姿を見付ける事は出来なかった。
調査兵団本部の入り口に、私はただ呆然と立ちつくす。
嫌な予感が頭をよぎった。
胸騒ぎがした。
もしかすると深刻な怪我を負い、ウォール・マリア内の病院へ運ばれたのかもしれない。
きっと、今頃手術が終わり、病室のベッドで目を覚ましている頃かもしれない。
ざわつく胸中を、わずかな望みで抑えつける。
しかし…私には分かっていた。
クレアがもう戻っては来ないという事を。
二度と会えないという事を。
母を亡くしたあの時と、同じだという事を…。
気が付くと、私は女子棟の部屋へと向かっていた。
認めたくなどなかった。
クレアはまだ生きている。
生きて…きっと私に一番に会いたいと、女子棟の部屋に向かったに違いない。
“サラちゃん、お願いだからたまにはワンピースを着てよ。”
“サラちゃんは女の子なんだから、もっと可愛くしなきゃ。”
どうしてだろう、あんなに鬱陶しく感じていたクレアの言葉が、今はこんなにも愛おしく感じる。
“2人とも自分の子供のように可愛いの。”
“みんなサラちゃんの事が大好きなんだから。
みんなサラちゃんの事を見てるんだよ。”
あの時…憎む事しか出来なかったクレア。
どうしても許せないと思ってしまったクレア。
本当は…
本当は、大好きだった。