【進撃の巨人】 never ending dream R18
第23章 咽び泣く~決意~●
辺りを見渡すと、兵士達のほとんどが深手を負っていた。
瀕死の重傷を負った兵士は、壁内へ帰還するなり、ウォール・マリア内にある病院へと運ばれる。
調査兵団本部まで自力で帰還したのだから、緊急を要しない傷と判断されたのであろう。
それでも、周りの兵士達からはうめき声にも似た泣き声が漏れ始めていた。
それは、自身の傷の痛みに対するものでは無く、壁外で命を落とした仲間に対してのものだったのだと思う。
不気味なほど異質な空気が漂う兵士達の中を、私はクレアの姿を探し歩いた。
そんな中、私は父とキースの姿を見付ける。
いつものように仮面を被ったような表情を浮かべている父と、ひどく動揺した様子のキース。
相反するふたりの姿はとても不気味で、この時私は改めて、壁外の恐ろしさ…巨人の恐ろしさを知ったのだった。
「クレア…?
ねぇ、クレア?」
湿った土と生臭い血の臭い。
兵士達のうめき声とすすり泣き。
その中を、私は艶やかな栗色の髪をした後ろ姿を探した。