【進撃の巨人】 never ending dream R18
第22章 咽び泣く~違和感~
「お前にしては珍しいな…。
そんな皮算用に過ぎない案が通るとは、到底思えねぇ。
打算的な憲兵団のことだ。
エレンの身体を徹底的に調べあげたのちに“殺処分”といったところだろう。」
「そうだな…。
中央で実権を握る有力者達は、彼を脅威と認識する一方で、彼を英雄視する民衆がいる事も事実。
このままでは内乱が生じかねない。
君が言うように、憲兵団は1日も早く彼を解剖し、事態を終息させたいだろう。
ただ…彼の“巨人の力”は不確定な要素を多分に含み、危険は常に潜んでいる。
果たして憲兵団の手に負えるのだろうか…。
君が先ほど地下牢で言ったように、彼の“巨人の力”が暴走した場合、対応出来るのはリヴァイ…君しかいない。
その事をより“効果的”に提示出来ればいいんだが…。」
「…効果的?」
「えぇ。
…そこは君に任せるよ。」
「なんだそりゃあ。」
「先ほど、君は地下牢で言ったじゃないか。
“エレンの世話は俺が責任を持つ”と…。」
車窓から入り込む夕日に目を細め、サラは座席へともたれる。
サラもリヴァイ同様、ここ数日は満足に眠る暇などなく、倦怠と疲労が全身を襲っていた。
3日前、トロスト区へと帰還するなり、区内に閉じ込めた巨人の掃討を行ったリヴァイの疲れはそれ以上であろう。
調査兵団本部に戻ってからも、やってもらわなければならない事がある。
どうか今のうちに少しでも休息を取ってほしい。
腕を組み、目をつぶりながら座席へともたれるリヴァイへと、サラは物思わしげな表情を向けた。