【進撃の巨人】 never ending dream R18
第22章 咽び泣く~違和感~
「なぁ、サラ…。
アイツの…エレンの事だが、憲兵団がやすやすとアイツの身柄を俺達に引き渡すとは思えねぇ。
何か秘策はあるんだろうな?」
腕を組み、目をつぶりながらリヴァイは寝言のようにサラへとそう尋ねる。
眠っているとばかり思っていたリヴァイの問い掛けに、サラは少し驚くと、ふふっと柔らかな笑みを返した。
“巨人”のうなじから救出され、昏睡状態であったエレンが目を覚ましたと連絡を受けたのは今朝の事であった。
サラとリヴァイは、すぐさまエレンの身柄が拘束されているというウォール・シーナ内の審議所へと向かった。
審議所の地下牢…。
鎖で繋がれ、ベッドへと寝かされるエレンは、思っていたよりも幼さの残る少年であった。
しかし、その瞳の奥に宿す牙は本物で、“お前がしたい事はなんだ?”と問い掛けるリヴァイに対し、“調査兵団に入って、とにかく巨人をぶっ殺したいです。”と、彼は答えた。
「数日中に、改めて彼の処遇を決める会議が開かれる。
彼の言う通り、シガンシナ区にある彼の生家…彼の父親である“イェーガー医師”の家の地下室に巨人の謎があるのだとすれば…シガンシナ区及びウォール・マリアの奪還が必須となる。
5年前に破壊されたあの扉を速やかに塞ぐには、飛躍的手段…彼の“巨人の力”が必要だ。
先ほど地下牢でも言った通り…これから私達がする事は、今までとあまり変わらない。
私達が提案する事はただひとつ。
『エレンを正式な団員として迎え入れ、“巨人の力”を利用し、ウォール・マリアを奪還する。』
それだけだ。」
車窓を眺め、そう淡々と話すサラの横顔を、リヴァイの三白眼が見つめていた。
エレン・イェーガー。
彼に隠されていたのは“巨人の力”だけではなかった。
エレンの父である“イェーガー医師”から託されたという地下室の鍵。
シガンシナ区にあるエレンの生家の地下室に、巨人の謎が明らかになる“何か”が眠っているという。