• テキストサイズ

【進撃の巨人】 never ending dream R18

第22章 咽び泣く~違和感~


850年



「エレン・イェーガー…。」

調査兵団本部へと戻る馬車の中、車窓から流れ行く街並みを見つめながら、サラはそうつぶやいた。

向かいの座席へと座り、微睡みはじめていたリヴァイは、そんなサラの“独り言”に目を覚ます。

ここ数日、満足に眠る暇などなかったのであろう。

不機嫌そうに脚を組み直すリヴァイの瞼には、うっすらと茶色いクマが出来ていた。





3日前、第56回壁外調査のためにトロスト区を出発したサラ率いる調査兵団一行は、ウォール・マリア内の旧市街地にて巨人の異変に気付き、直ちに壁内へと引き返した。

5時間後、出発地点であるトロスト区へと帰還したサラ達が目撃したのは、“巨人”が大岩を持ち上げ、ポッカリと開いた開閉扉の穴を塞ぐ姿だった。



巨人が開けたであろう穴を、“巨人”が塞ぐ姿。



そんな奇妙な光景に、サラの心は酷く動揺し、そして…かすかに高揚した。



しかし、驚きはそれだけに留まらなかった。



力尽き、蒸発を始めた“巨人”のうなじから現れたのは、意識を失いかけた訓練兵の少年だった。





その日、サラ率いる調査兵団一行がトロスト区を出発した数時間後、トロスト区南門に突如出現した超大型巨人により、扉は破壊された。

一時、トロスト区全域を巨人に占拠されるも、決死の“奪還作戦”が功を奏し、扉の封鎖を果たした。



決死の“奪還作戦”…それが、“巨人の力”を持つ訓練兵の少年が巨人化をしたのち、大岩を持ち上げ、破壊された扉を塞ぐというものであった。



“巨人の力”を持つ訓練兵の少年…エレン・イェーガー。



人類が初めて巨人から領土を奪い返す事に成功した今、調査兵団、駐屯兵団、憲兵団の三兵団をはじめ、王族を含める有力者達、商会関係者から民衆にいたるまで、壁内で生きる人々の関心は、この不思議な少年、エレン・イェーガーへと集まっていた。




/ 841ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp