【進撃の巨人】 never ending dream R18
第22章 咽び泣く~違和感~
「サラちゃん、お願いだから顔を見せて。」
「ほっときなさいよ、反抗期のガキなんか。」
出陣の朝、頭から毛布を被ったままベッドにうずくまる私から、クレアは決して離れようとはしなかった。
そんなクレアへ、メラニーは呆れたような言葉を吐く。
手負いの兵士が生きて帰還出来るほど、壁外はあまい世界ではない。
荷馬車の護衛という名の“おとり”。
その事を、クレアも知っていたのだろう。
何度も何度も私へと話しかけるクレアの声は、わずかに震えていたような気がする。
「サラちゃん…。
こうしてサラちゃんとお話し出来るのも、これが最後になるかもしれないの。
だから…お願い。
サラちゃん、顔を見せて。」
そう言いながら、クレアは毛布の上から私の身体を優しく抱き締める。
その瞬間、私は無意識のうちにクレアの腕を振りほどき、「触らないでよ!!」と、悲鳴にも似た声をあげていた。
「…サラちゃん?」
毛布の隙間からかすかに見えたクレアの顔に、私は驚く。
父とクレアの情事を見てしまったあの日以来、同じ部屋で暮らしていながら、目を背け続けてきたクレアの顔。
そんな数週間ぶりに見たクレアの顔は酷くやつれ、以前のような可愛いらしいお姫様の面影はどこにもなかったのだ。