【進撃の巨人】 never ending dream R18
第22章 咽び泣く~違和感~
カタンッと何かが倒れる音に、私は目を覚ました。
いつの間にか眠ってしまっていたのだろうか…それとも、目を覆いたくなるような光景に、気を失っていたのだろうか…。
クローゼットの隙間から流れ込む冷たい空気が、汗ばんでいたはずの身体の熱を奪っていた。
私はクローゼットの隙間から、部屋の中の様子をうかがう。
薄暗い部屋の中、大きく開け放たれた窓から吹く風はカーテンを揺らし、窓際に置かれていた数冊の本が、斜めに重なり合いながら倒れていた。
先ほどまで、父とクレアがいたはずのベッドの上。
シワひとつ無く、不自然なほど綺麗に整えられたシーツ。
部屋にはすでに、父とクレアの姿はなかった。
私はゆっくりとクローゼットの扉を開け、誰もいない部屋の中へと出る。
昼間の熱さが嘘であったかのように、ひんやりとした室内。
冷たい風が吹き込む窓を閉め、倒れた本を元に戻す。
父がよく読んでいた難しそうな古文書と、毎晩、寝る前に読んでくれていた絵本が数冊。
その本へと触れる私の手は、なぜかカタカタと震えていた。
つい数時間前、私の目の前で…父とクレアは性交渉に及んだ。
この曲げようのない事実を、一体どう受け止めればいいのだろう…。
涙が溢れ、視界が歪む。
呼吸が乱れ、胸が苦しくなる。
気が付くと、私は部屋を飛び出し、キースがいるであろう団長室へと向かっていた。