【進撃の巨人】 never ending dream R18
第22章 咽び泣く~違和感~
艶やかな栗色の髪を撫でながら、父は何度もクレアの唇へとキスを落とす。
それは、徐々に濃厚な口づけへと変わり、瞳を閉じるクレアの唇からは、時おりため息にも似た、甘い声が漏れ出していた。
「…エルヴィン…。」
父の名前を呼び、父の首へと腕を回すクレアの表情は、いつも私に向けられているものとは違い、女性らしい柔らかな表情であった。
そんなクレアを優しく包み込むような父の顔もまた、今まで私が見てきた仮面を被ったような表情ではない。
私の知らない、“ふたり”の姿…。
父の大きな手が、クレアのシャツのボタンを外し始めた頃、私の心臓はドクンドクンと大きな音を鳴らしながら、目の前で繰り広げられる光景に悲鳴を上げるかのように、ドロドロとしたドス黒い感情を生み出していた。
「…もうすぐ、トージ君が帰って来ます…。」
シャツのボタンを外す父の手を、クレアの細長い指先が優しく拒む。
「…トージは、友人の家へ寄ると言っていた。
夕方までは戻らないだろう…。」
父はそう言うと、クレアの手を握り返し、首筋へと優しいキスをした。
「…もし、サラちゃんが…」
「クレア…俺は“今”君を抱きたいんだ。」
追い詰められたような…余裕の無い表情を浮かべる父。
そんな父の心を、身体を…受け入れるかのように、クレアは潤んだ瞳をそっと閉じた。