【進撃の巨人】 never ending dream R18
第22章 咽び泣く~違和感~
廊下を歩く足音が聞こえた。
足早にこちらへと向かってくる足音。
私は慌ててベッドの上へとシャツを戻し、刀を持ったまま、部屋の角に置かれた大きなクローゼットの中へと身を隠した。
一体こんな昼間に誰だろう?
息を殺し、私はただ足音が過ぎるのを待つ。
しかし、父の部屋は廊下の端。
徐々に近付く足音に、私はただならぬ予感を感じていた。
案の定、その足音は父の部屋の前で止まり、勢い良くドアが開いた。
ツカツカと部屋の中を進む足音。
私はクローゼットの隙間から、恐る恐る部屋の中を覗き見る。
そこに見えたのは、深いため息をつきながらベッドへと腰を下ろす父の姿だった。
酷く疲れた様子を見せ、頭を抱える父。
それは、私がいつも見ていた仮面を被ったような表情とは違い、追い詰められたような…余裕の無い表情だった。
しかし、私はなぜか父のその表情がとても人間らしく思え、クローゼットの隙間から、父の横顔を眺め続けた。
いつの間にか私の心の中は、目の前に座る父への恋しさで溢れていった。