【進撃の巨人】 never ending dream R18
第22章 咽び泣く~違和感~
「この花はね、“鬱金香”と言うの。
花には、それぞれ“花言葉”というものがあって、この鬱金香は色によって花言葉が違うんだよ。
桃色は”誠実な愛”、白は”失われた愛”なんだって。」
そう話しながら花壇の手入れを続けるクレアの後ろ姿を、私は黙って眺めていた。
背中で羽ばたく自由の翼。
腰まである艶やかな栗色の髪が、初夏の風に優しく揺れる。
そんなクレアの後ろ姿に、私は“違和感”を感じるようになっていた。
「サラちゃん、花は好き?」
優しく微笑みながら振り返るクレアの問い掛けに、私は「…別に。」と、無愛想に答える。
「また、“別に”…か。
最近、何を聞いてもそれしか言ってくれないね。」
寂しそうに笑いながら、クレアは再び花壇の手入れを続けた。
“じゃあ私も聞くけれど、どうしてあの日、廊下ですれ違った父さんの身体から、甘いバニラ砂糖の匂いがしたの?”
花壇の前にしゃがむ華奢な背中に、私は心の中でそう問い掛けていた。