【進撃の巨人】 never ending dream R18
第21章 咽び泣く~戸惑い~●
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「…おかしいな。」
馬を止め、そうポツリとつぶやくサラの言葉に、ミケをはじめとする指揮班の間にも緊張が走る。
ウォール・マリア内の旧市街地。
第56回壁外調査のため、トロスト区を出発してから6時間後の事であった。
サラは近くの建物へとアンカーを突き刺し、屋根の上へと登る。
そんなサラを追うように、ミケも後に続く。
高くそびえ立つ礼拝堂の上。
遠くを見つめるふたりの目に飛び込んで来たのは、まるで調査兵団を無視するかのように北上し始める、巨人の群れの姿だった。
「…10m級から15m級が8体。
その後方の林には少なくとも6体はいるな。」
スンスンと鼻を動かし、ミケがそうつぶやく。
「まるで壁に向かっているようだ…。」
サラは目を凝らし、巨人の動きを確認した。
建物の間から顔をのぞかせながら北方を目指して歩く巨人の群れに、サラは妙な胸騒ぎを感じる。
雲ひとつ無い空の下、真っ赤な口を開けて進む巨人の群れが不気味に思えてならない。
巨人が壁を目指し、北上する理由…。
それは一つしか無い…。
ふと、サラの脳裏に、5年前の“あの日”の惨劇が蘇る。
身体を裂かれ、肉が飛び散り、真っ赤な血液が吹き出す。
巨人の口の中、一体どれほどの人間が断末魔の悲鳴を上げただろうか。
故郷が奪われていく。
思わず目を背けたくなった、“あの日”の光景…。
気が付けば、サラの背筋からは冷たい汗が流れていた。